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  • 2024年の最低賃金について

    2024年の最低賃金について

    先日、7月25日に開催された中央最低賃金審議会にて、今年度の地域別最低賃金額改定における、引き上げ額の目安が公表されました。全ランクに対して50円を目安として引き上げられます。この場合の全国加重平均は1,054円、引き上げ率5%となります。なお、前年度の全国加重平均の上昇額は43円、引き上げ率は4.5%でした。
    Aランクにおける、現在の最低賃金及び改定後の最低賃金は下図のとおりです。

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    最低賃金は毎年7〜8月頃に引き上げ額が決定され、10月頃に改定が実施されます。

    ◇ランクとは
    都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCの3ランクに分けています。
    現在はAランク6都府県、Bランク28道府県、Cランク13県になります。

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    ◇最低賃金とはなにか
    最低賃金とは、最低賃金法で定められた最低賃金額のことです。国が最低賃金額を定め、使用者は、最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。
    また、最低賃金の算出方法は時給・日給・月給によって異なります。
    簡単に言うと、基本給と言われるものが最低賃金に該当します。したがって、臨時に支払われる手当や賞与、残業代、通勤手当などは除外されます。
    最低賃金は1時間当たりの賃金になるため、時給の場合は時間給を上回っていれば問題はありません。日給の場合は手当がある場合は、手当込みで時間当たりの賃金を算出する必要があります。月給も同様に基本給と諸手当が算出の対象になります。
     
    ◇正式発表はいつになるのか
    毎年、7〜8月頃に改定額が決定され、10月頃に改定が実施されます。前年度の改定施行日は10月1日でした。現時点で発表がされたのは中央最低賃金審議会からになります。この後、地方最低賃金審議会で調査審議等を行い、各都道府県労働局長より地域別最低賃金額が決定されます。
     
    ◇改定時の注意点
    ・求人広告等の見直し
    求人を出す場合は最低賃金を下回らないようにしなければなりません。正式採用前でも、アルバイトでも最低賃金を下回ることはできません。HP等の採用内容の更新を忘れずに行ってください。また、他社と比較されて、時給が低い場合は応募数も下がる可能性があります。自社独自のアピールポイントなどの強みを決めておくとよいでしょう。
     
    ・人件費の見直し
    雇用される側は50円増えても大した額ではないと思う方が多いでしょう。ですが、経営者はそうではありません。従業員が多いほど、人件費は増大します。ですが正社員を減らしてパートを増やしても、扶養内、扶養控除で働きたいパートの場合は、今後所得条件が引き下がった場合は労働時間が少なくなり、結果として人手不足になる可能性があります。
    また、正社員の賃金が変わらず、非正規社員のみ賃金が上がる場合は、不満に思う社員も出る可能性があります。頑張っている社員からすると不平等と思われてしまうかもしれません。対応と対話が必要になるでしょう。
     
    ・業務の見直し
    この機会にDX化を進めるのもよいでしょう。初期投資に金額がかかっても未来の生産性を高めることは大切です。仮に、同じ業務を5人で時間をかけて行い、残業代が発生し、他の業務が滞り、集中力がなくなりミスが増えてしまった。とするよりもシステム化して2人で業務を行い、作業時間を短縮し残業代を減らす。空いた人員で他の業務にあたったり、新しい生産性のある仕事を生むこともできます。
     

    政府は、今後の目標として最低賃金額における全国加重平均1,000円を目標としています。現在、最低賃金893円の県がありますがAランクの都府県の場合は、全国平均目標に達したとしても平均を超えるので、雇用従業員数、雇用枠、雇用時間の見直しや業務フローについて見直し対応していかなければ経営悪化の恐れがあります。ですが、賃上げをすることで社員のモチベーションがあがる可能性もあります。何も言わず給与額を変更するのではなく、給与を増額することを伝え、ともに頑張ってほしいなど声にして伝えることが大切です。きちんと伝え合うことは、双方の共通意識と自覚を生みます。聞いてないから、知らないではなくなるのです。経営をする側は社員とコミュニケーションを行い、彼らの意欲を高めるよう働きかけることが必要となります。
    採用や経営など、何かお困りのことがありましたら、是非ご連絡ください。貴院の目指すビジョンを実現するお手伝いをさせていただきます。

    元記事: note(原嶋企画)

  • 着替える時間は労働時間に含まれるのか?

    着替える時間は労働時間に含まれるのか?

    クリニックで働く人たちが、職場で行うことはなんでしょうか。 打刻ももちろんですが、「制服に着替える」ことではないでしょうか。

    働くにあたって、看護師、事務員等それぞれの制服があるかと思います。 着替えにかかる時間はどのくらいでしょうか。 その時間は、個人差が大きい上に業務前の準備段階と考えられます。
    ですが、100%労働時間外と言い切れるでしょうか。

    実際に、「着替える時間も労働時間にあたる」
    として訴訟となった事例があります。

    ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、「三菱重工業長崎造船所事件」になります。
    三菱重工業長崎造船所事件の判例では「労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるもの」としたうえで、「労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当する」と解されました。

    また、この事件では始業前に着替えを済ませ所定の場所にいることや散水等の業務を行うことを義務付けていました。これを怠ると懲戒処分や減給が課せられた事実がありました。

    多くの職場では、時間や場所の拘束、強制、業務評価への関連性をもたせていないと思います。
    ですので原則として職員の制服に着替える時間は労働時間に該当しないと言えるでしょう。
    ですが、業務性が強度であれば労働時間として認めることになるという興味深い判例です。

    雇用主である先生方は、従業員から予想外の意見をもらうことも多いと存じます。 何かお困りの事や気になる事等ありましたら、是非お声をお掛けください。

    元記事: note(原嶋企画)