投稿者: chokojimu

  • 査定事例 ~細菌培養同定検査の算定回数~

    査定事例 ~細菌培養同定検査の算定回数~

    こんにちは、原嶋企画です。今日は表題にありますように、実際にあった細菌培養同定検査の査定についてお話します。
     

    ◇査定項目 事由B 細菌培養同定検査(消化管)△190点
    (※改正前の為、200点でなく190点となっています。)
     
     本レセプトについては、嘔気及び血便症状のある患者に対してCSを実施し、感染性腸炎疑いにて盲腸・回盲部より細菌培養を提出。細菌培養同定検査(消化管)190点×2を請求したが、1回のみに査定。過剰・重複による査定となってしまいました。
    今回のケースは、担当看護師より細菌培養を盲腸と回盲部より2か所実施した旨の報告があり、請求事務担当が報告通り2部位として請求を行ったものでした。 
    細菌培養同定検査について、早見表に記載されている文言は以下のとおりです。
     
    ◇算定要件
    エ)症状等から同一起因菌によると判断される場合であって、当該起因菌を検索する目的で異なった部位から、又は同一部位の数か所から検体を採取した場合は、主たる部位又は1か所のみの所定点数を算定する。ただし、血液を2か所以上から採取した場合に限り、「3」の血液又は穿刺液を2回算定できる。この場合、「注1」及び「注2」の加算は2回算定できる。
     
    今回のレセプトでは「細菌培養同定検査190点×2」から「細菌培養同定検査190点×1」への査定です。算定要件にあるとおり、異なった部位から、又は同一部位の数か所から検体を採取しても1回しか算定できないとなります。ですが、「同一起因菌によると判断される場合」とありますので、起因菌が複数ある場合は認められるのではないかという解釈もできます。
     
     
     
     
    ◇査定理由
    異なった部位、同一部位から検体を採取した場合は主たる部位又は1か所しか算定できない。
     
    ◇対応策
    今回のケースでは、同一起因菌でないかということがひとつの焦点となります。医師に確認を行い、複数の起因菌を疑って行われたのであれば、詳記をつけて再請求を行う。同一起因菌であれば算定は原審どおり1回となる。

    レセプトは様々な職種が関わって完成します。医師は症状に対して必要である診療行為を判断し実施します。看護師も処置等を実施します。それらの請求を行うのは事務になります。算定要件である解釈や請求方法について先生方は事務を信頼して託しています。病名だけで請求するには不十分と思われる場合は、先生方に相談して詳記をつけるのが良いでしょう。請求に足るストーリーのあるレセプトを作成することが、審査側に理解してもらうための重要な要素になります。

    元記事: note(原嶋企画)

  • ボスとリーダー、どちらになるか 部下への接し方

    ボスとリーダー、どちらになるか 部下への接し方

    今回は、イギリスの百貨店セルフリッジの創業者の言葉をご紹介します。国際百貨店サミットで2度の受賞を受けた唯一の百貨店である創業者ハリー・ゴードン・セルフリッジは、こんな言葉を残しています。また、トヨタ自動車の労使協議会でも取り扱われた有名な言葉です。
     
    The boss drives his men; the leader coaches them.
    ボスは部下をせきたて、リーダーは部下を指導する。
    The boss depends upon authority, the leader on goodwill.
    ボスは権威に頼り、リーダーは好意に頼る。
    The boss inspires fear; the leader inspires enthusiasm.
    ボスは恐怖を煽り、リーダーは情熱を沸かせる。
    The boss says “I”; the leader, “we.”
    ボスは「私」と言い、リーダーは「私たち」と言う。
    The boss fixes the blame for the breakdown; the leader fixes the breakdown.
    ボスは失敗を非難するが、リーダーは間違いを改善する。
    The boss knows how it is done; the leader shows how.
    ボスは方法を知っていて、リーダーは方法を示す。
    The boss says “Go”; the leader says “Let’s go!”
    ボスは「やれ」と命じ、リーダーは「やろう」と言う。
    The customer is always right.
    顧客は常に正しい。
     
      現在はこれらの言葉に、後世の人々がいくつか付け加えた言葉が世の中に伝わっています。彼はボスでなくリーダーであることで成功したと言われています。
    日本海軍軍人であった山本五十六も「やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」という言葉を残しています。
     
    目標達成を行うことのできる人材は、組織のリーダーに必要です。組織は多くの人間で成り立っています。すべての職員が同じ能力を持ち、同じ成果を納めることは不可能です。部下とコミュニケーションを取り、自ら行動し、情報共有ができるリーダーは組織で能力を発揮します。大局を動かし、組織を成長させることができるでしょう。
     

    余談ですが、セルフリッジは賭博やショーガールに多くの財産をつぎ込んでいます。人間、全てが完璧とはいきません。今回比較対象になったボスが全て悪いとも、リーダーが全て正しいとは言い切れません。場面によっては、効果的な役割や必要とされるパフォーマンスは変わるでしょう。
    私たちは日々生活する中で、様々なライフイベントがあり精神的・肉体的に落ち込むこともあります。それでも仕事はしなければなりません。だからこそ、俯瞰で物事を判断できるリーダーが必要なのでしょう。
     
    スタッフの教育や指導については、多くの先生方が悩んでいる事柄だと思います。ともに、貴院が目指す医院の実現に向けて改善策を考えてまいります。何か、お悩みのことがありましたらご相談ください。

    元記事: note(原嶋企画)

  • 今、急増している熱中症保険とは

    今、急増している熱中症保険とは

    最近、ニュースなどで耳にすることが多くなった熱中症保険をご存じでしょうか。酷暑で加入者が増え、参入する会社が増えているそうです。そんな熱中症保険が、どのような仕組みなのかPayPayほけんについて調べてみました。
     
     ◇PayPayほけん 熱中症お見舞金 ~診断書不要・1日100円から~
     
    ・期間選択型(保険期間1~7日)
    【1日100円、2日110円、3日120円、4日130円、5日140円、6日160円、7日170円】
    治療保険金10,000円/回
    入院保険金30,000円/回
    ※販売期間 2024/4/22~2024/9/30
    ※午前9時までに申し込みをした場合、当日午前10時から保障開始可能
     
    ・月額型(保険期間1ヵ月~6カ月)
    お手軽プラン 200円/月 治療保険金5,000円/回 入院保険金10,000円/回
    基本プラン  220円/月 治療保険金7,000円/回 入院保険金30.000円/回
    安心プラン  240円/月 治療保険金10,000円/回 入院保険金30,000円/回
    ※販売期間 2024/4/22~2024/10/31
    ※申込日翌日から保障開始可能
     
    <治療保険金>
    被保険者が、保険期間中に日射または熱射によって身体に障害を被り、医師の判断により病院などで点滴治療を受けた場合が対象。
    <入院保険金>
    被保険者が、保険期間中に日射または熱射によって身体に障害を被り、その治療を目的とする継続した2日(1泊2日)以上の入院をした場合が対象。
     
    ・申込方法・・・PayPayアプリにて可能。当アプリ内で申込から保険料支払いが完結する。
     
    ・保険金請求・・・PayPayアプリから領収証と診療明細書をアップロードすることで申し込める。診断書不要。 保険金はユーザーが指定した金融機関口座に振り込まれる。
     
     
    PayPayほけんは今年の夏にわずか10日間で加入件数が3万件増加しており、需要が高いことが伺えます。昨年の加入者はリピート割が適応されるなど、継続的な契約にも力をいれているのが分かります。申込者の約半数は申込者の子どもや配偶者、親など家族のための契約で、酷暑の中で行う部活動に備えたり、離れて住む高齢の家族のために加入したりするケースも多くみられるようです。屋外のライブやお祭りなど、イベント時の熱中症対策としても重要視されています。
    他にも、NTTドコモと東京海上日動火災保険傘下のTokio Marine X少額短期保険が熱中症保険に参入しています。スマホ決済アプリ「d払い」から申し込めるものです。こちらは医療機関での診断書が必要になるようなので、加入している患者さんより問い合わせがあるかもしれません。

    元記事: note(原嶋企画)

  • 2024年の最低賃金について

    2024年の最低賃金について

    先日、7月25日に開催された中央最低賃金審議会にて、今年度の地域別最低賃金額改定における、引き上げ額の目安が公表されました。全ランクに対して50円を目安として引き上げられます。この場合の全国加重平均は1,054円、引き上げ率5%となります。なお、前年度の全国加重平均の上昇額は43円、引き上げ率は4.5%でした。
    Aランクにおける、現在の最低賃金及び改定後の最低賃金は下図のとおりです。

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    最低賃金は毎年7〜8月頃に引き上げ額が決定され、10月頃に改定が実施されます。

    ◇ランクとは
    都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCの3ランクに分けています。
    現在はAランク6都府県、Bランク28道府県、Cランク13県になります。

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    ◇最低賃金とはなにか
    最低賃金とは、最低賃金法で定められた最低賃金額のことです。国が最低賃金額を定め、使用者は、最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。
    また、最低賃金の算出方法は時給・日給・月給によって異なります。
    簡単に言うと、基本給と言われるものが最低賃金に該当します。したがって、臨時に支払われる手当や賞与、残業代、通勤手当などは除外されます。
    最低賃金は1時間当たりの賃金になるため、時給の場合は時間給を上回っていれば問題はありません。日給の場合は手当がある場合は、手当込みで時間当たりの賃金を算出する必要があります。月給も同様に基本給と諸手当が算出の対象になります。
     
    ◇正式発表はいつになるのか
    毎年、7〜8月頃に改定額が決定され、10月頃に改定が実施されます。前年度の改定施行日は10月1日でした。現時点で発表がされたのは中央最低賃金審議会からになります。この後、地方最低賃金審議会で調査審議等を行い、各都道府県労働局長より地域別最低賃金額が決定されます。
     
    ◇改定時の注意点
    ・求人広告等の見直し
    求人を出す場合は最低賃金を下回らないようにしなければなりません。正式採用前でも、アルバイトでも最低賃金を下回ることはできません。HP等の採用内容の更新を忘れずに行ってください。また、他社と比較されて、時給が低い場合は応募数も下がる可能性があります。自社独自のアピールポイントなどの強みを決めておくとよいでしょう。
     
    ・人件費の見直し
    雇用される側は50円増えても大した額ではないと思う方が多いでしょう。ですが、経営者はそうではありません。従業員が多いほど、人件費は増大します。ですが正社員を減らしてパートを増やしても、扶養内、扶養控除で働きたいパートの場合は、今後所得条件が引き下がった場合は労働時間が少なくなり、結果として人手不足になる可能性があります。
    また、正社員の賃金が変わらず、非正規社員のみ賃金が上がる場合は、不満に思う社員も出る可能性があります。頑張っている社員からすると不平等と思われてしまうかもしれません。対応と対話が必要になるでしょう。
     
    ・業務の見直し
    この機会にDX化を進めるのもよいでしょう。初期投資に金額がかかっても未来の生産性を高めることは大切です。仮に、同じ業務を5人で時間をかけて行い、残業代が発生し、他の業務が滞り、集中力がなくなりミスが増えてしまった。とするよりもシステム化して2人で業務を行い、作業時間を短縮し残業代を減らす。空いた人員で他の業務にあたったり、新しい生産性のある仕事を生むこともできます。
     

    政府は、今後の目標として最低賃金額における全国加重平均1,000円を目標としています。現在、最低賃金893円の県がありますがAランクの都府県の場合は、全国平均目標に達したとしても平均を超えるので、雇用従業員数、雇用枠、雇用時間の見直しや業務フローについて見直し対応していかなければ経営悪化の恐れがあります。ですが、賃上げをすることで社員のモチベーションがあがる可能性もあります。何も言わず給与額を変更するのではなく、給与を増額することを伝え、ともに頑張ってほしいなど声にして伝えることが大切です。きちんと伝え合うことは、双方の共通意識と自覚を生みます。聞いてないから、知らないではなくなるのです。経営をする側は社員とコミュニケーションを行い、彼らの意欲を高めるよう働きかけることが必要となります。
    採用や経営など、何かお困りのことがありましたら、是非ご連絡ください。貴院の目指すビジョンを実現するお手伝いをさせていただきます。

    元記事: note(原嶋企画)

  • レセプトの請求期限は?

    レセプトの請求期限は?

    保険医療機関では、毎月10日までにレセプトを送信していると思います。ですが、毎月請求をしているレセプトにも請求期限があることはご存じでしょうか。どこまで、さかのぼって請求することが可能なのか。今回は請求期限についてお話します。
     
    ◇レセプトの請求期限は原則5年
    請求期限は民法によって定められており、以前までは3年間(訪問看護は2年)でしたが、令和2年4月1日より改正され原則5年間とされました。
    なお、その起算日については、社会保険は診療月の翌月1日、国民健康保険は診療月の翌々々月の1日、つまり3か月後とされています。

    ≪起算日の数え方≫ ※該当月の1日を起算日とする

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    例)国保の場合、令和6年7月のレセプトは、3か月後の令和6年10月1日が起算日となるので、請求権の時効は令和11年10月1日となります。 ・原則5年とは原則については民法に『消滅時効は「権利を行使することを得るとき」より進行するものであり、「権利を行使することを得る」とは「権利を行使することに法律上の障碍がない」ことである』と記載があります。つまり、権利を行使することができることを知った時から5年間となります。ですが、「請求権を行使できることを知らなかった」と考えられる特段の事情がある場合は別となります。 

    ・国保と社保で期限が違うのはなぜか
    請求権5年は民法で定められた期限ですが、請求権の時効起算日について健康保険法と国民健康保険法で異なるため違いが生じているものと考えます。過去に疑義照会が生じていました。いずれも昭和30年代のものにはなりますが、解釈の材料になるかと思います。
    ・診療報酬請求権の消滅時効について(◆昭和35年05月24日保険発第64号)
    ・診療報酬請求権の時効の起算日について(◆昭和38年01月18日保険発第7-2号)
     
    ・原審査査定及び再審査査定に対する再審査請求の時効
     基本的に再審査の申立ては原則6カ月以内を遵守するよう支払基金から通知がでています。[保険発第17号保険発第40号]
    国保連合会も同様に6カ月としています。
    ※当該保険医療機関等が当該請求権を行使することができることを知ったと考えられる特段の事情がある場合には、当該事情に照らし、その事情が認められる時(当該請求権を行使することができることを知った時)から5年間で消滅時効が完成することとなる。等とあり、民法上は以下のとおりとなっています。

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    ※原審査査定の起算日は請求権と同じく、国保は診療月の翌々々月1日、社保は診療月の翌月1日になります。再審査査定の場合は、再審査査定による減額後診療報酬支払日の翌月となります。  以上が、レセプトに関する期限についてのお話となります。色々と難しい言い回しや、各種通達があり判断が難しいことが多いと思います。資格確認等でレセプト請求が遅れることがあると思いますが、保留レセは速やかに処理し、請求期限を超えるレセプトが発生しないように努めましょう。レセプトに関してお困りのことがありましたら、是非お問い合わせください。

    元記事: note(原嶋企画)

  • 査定事例 ~尿素呼気試験(UBT)~

    査定事例 ~尿素呼気試験(UBT)~

    今回、査定があった事例は「尿素呼気試験(UBT)」になります。
    何故査定されたのか、みていきましょう。

    ◇査定項目 尿素呼気試験(UBT)△70点 + 
    微生物学的検査判断料 △150点

    当該レセプトは、胃カメラにて胃炎の診断を受けた患者に対して、ヘリコバクター・ピロリ感染症の診断がなされ除菌及び除菌後感染診断を行ったものでした。 
    では算定要件を確認しましょう。
     
    ◇算定要件
    5 除菌後の感染診断(除菌判定)
    (1)除菌後の感染診断については、3の除菌終了後4週間以上経過した患者に対し、ヘリコバクター・ピロリの除菌判定のために2に掲げる検査法のうちいずれかの方法を実施した場合に1項目のみ算定できる。ただし、検査の結果、ヘリコバクター・ピロリ陰性となった患者に対して、異なる検査法により再度検査を実施した場合に限り、さらに1項目に限り算定できる。
     
    ◇査定理由
    除菌終了日から4週間経過していないにもかかわらず尿素呼気試験を実施。
     
    ◇対応策
    予約を取る際に、4週間以上経過しているか確認をする。

     
    本件については、除菌終了日から4週間経過していないにもかかわらず尿素呼気試験を実施していました。検査予約をする場合は除菌終了日がいつなのか、そこから4週間以上経過しているかを慎重に確認する必要があります。日々行っている業務でも再確認を行ったり、他の人にダブルチェックをしてもらうなど誤りを防ぐようにしていきましょう。
     
    また、ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する請求については、取り決めが多く存在します。PPI製剤の休薬や、抗体測定実施は除菌終了後6カ月以上経過していることなど細かく算定要件が定められています。他にもレセプトコードの入力が必要です。請求する場合は注意しましょう。

    請求方法等で不明なことがありましたら、是非ご相談ください。

    元記事: note(原嶋企画)

  • 査定事例 ~在宅自己注射における導入初期加算~

    査定事例 ~在宅自己注射における導入初期加算~

    こんにちは、原嶋企画です。
    今回は実際にあった査定事例についてお話させていただきます。
     
    ◇査定項目 事由D 導入初期加算(在宅自己注射指導管理料)△580点
     
     当該レセプトでは、在宅自己注射指導管理料を算定している糖尿病患者において、オゼンピックからトルリシティに処方変更したため、導入初期加算を算定しましたが、本件の導入初期加算の算定は認められず査定になりました。
    何故、査定されたのか理由を確認していきましょう。
    早見表に記載されている文言は以下のとおりです。
     
    ◇算定要件
    注3 処方の内容に変更があった場合には、(中略)当該指導を行った日の属する月から起算して1月を限度として、1回に限り導入初期加算を算定できる。
     
    (10)「注3」に規定する「処方の内容に変更があった場合」とは、処方された特掲診療料の施設基準等の別表第9に掲げる注射薬に変更があった場合をいう。また、先発バイオ医薬品とバイオ後続品の変更を行った場合及びバイオ後続品から先発バイオ医薬品が同一であるバイオ後続品に変更した場合には算定できない。なお、過去1年以内に処方されたことがある特掲診療料の施設基準等の別表第9に掲げる注射薬に変更した場合は、算定できない。
     
    今回のオゼンピック(セマグルチド)とトルリシティ(デュラグルチド)は、ともにGLP-1受容体作動薬になります。別表第9には「グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト」と記載されています。GLP-1受容体作動薬から別のGLP-1受容体作動薬への変更であり、「別表第9にある注射薬に変更があった場合」には該当しないために査定されたことがわかりました。
     
     
    ◇査定理由
    オゼンピックとトルリシティは両方ともGLP-1受容体作動薬のため、処方内容の変更には該当しない。
     
    糖尿病患者の在宅自己注射で処方内容に変更があった場合により算定できるのはインスリン製剤からGLP-1受容体作動薬へ変更となった場合、またはその逆の場合のみとなる。
     
    ◇対応策
    処方内容の変更で導入初期加算を算定する場合は、別表第9に掲げる注射薬の確認を行うことが必要である。
    ※過去1年以内に処方されたことがある特掲診療料の施設基準等の別表第9に掲げる注射薬に変更した場合は、算定できないので注意すること。
     
     
    今回の事例は、製造元での供給停止により注射薬の変更が必要になった為、発生しました。今後も同じような事例で注射薬が変更になることがあるでしょう。同じような査定を防ぐ為にも、インスリン製剤なのか、また算定要件にあてはまっているのか確認したうえで算定を行うようにしましょう。
    医療事務の方は、広い知識と読解力が求められ大変かと思いますが、ともに頑張っていきましょう。

    元記事: note(原嶋企画)

  • 標榜診療科名について

    標榜診療科名について

     患者さんが医療機関を受診する際に考えることは、「何科に行けば良いのか」です。自分の症状にあった適切な医療機関を探すにあたり、診療科名は重要な指針となります。その為、医療機関は医療法により定められた診療科を標榜しなければなりません。今回は、標榜診療科名に関するルールについてお話させていただきます。
     
     基本的には「内科や外科などの単独名称」を標榜診療科名とし、「呼吸器内科」「糖尿病・代謝内科」等といった単独可能な診療科名と定められた区分等による名称を組み合わせることが可能となっています。
     
    具体的には下記のとおりとなります。

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     【組み合わせのルール】
    ・(a)~(d)の異なる区分の語句はそのままつなげて使用することができる。
    ・(a)~(d)で同じ区分の語句を使用する場合は、「・」などで区切る必要がある。
     (例:老人・小児内科)
     ※不合理な組み合わせは不可。

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    これらが、定められているルールになります。
     
    現在では、「神経科、呼吸器科、消化器科、胃腸科、循環器科、皮膚泌尿器科、性病科、こう門科、気管食道科、女性科、老年科、化学療法科、疼痛緩和科、ペインクリニック科、糖尿病科、性感染症科」は広告することが認められていません。
     
    また、医師一人に対して主たる診療科名を原則2つ以内とし、診療科名の広告に当たっては、主たる診療科名を大きく表示するなど、他の診療科名と区別して表記することが望ましいとされています。
     
    このように、医療に係る広告規制は厳しく定められています。ですが、Webサイトなどの場合は要件を満たすことで制限事項が一部解除されるなど様々なルールがあります。診療科名は先生方の専門分野や提供したい医療をアピールする大切な事柄であり、集患対策にもつながる要素でもあります。標榜診療科名でお悩みのことがありましたら、是非ご相談ください。

    元記事: note(原嶋企画)

  • 診療所における書類の保存期間について

    診療所における書類の保存期間について

    現在ではデジタル化という言葉が当たり前となり、多くの医療機関で電子カルテが浸透しています。ですが、医療機関が完全にペーパーレス化する日は遠いでしょう。永続的に増え続ける紙媒体の書類の置き場で困っている方は多いと思います。
    今回は、保存期間や保存方法についてお話させていただきます。 

    ≪診療所における書類の保存期間≫

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    これらは診療所においての取り決めとなり、病院や特定機能病院等によって対象項目が異なってきます。また、同じ書類でも医療法や療養担当規則等、条例によって保存期間が異なるものが多々あります。そのことから保険医療機関においては、どの書類であっても完結の日の翌日から5年保存とするところが多いです。

    また、保存期間を過ぎても必要になり得る可能性を考えると破棄を行うことは難しく感じるでしょう。最終的には医療機関としてのルールを決めることになります。書類保存に関する法令は非常に多く多岐に渡ります。破棄を行う場合は法令を確認をしたうえで破棄するようにしてください。

    ≪保管方法≫

    ◇院外保管
    自院での保管以外に外部委託による保管サービスがあります。預けるのは個人情報ですのでセキュリティ対策がなされていることが重要です。

    ◇電子保存
    電子データでの保存に関しては、厚生労働省のガイドラインに細かく定められています。よくある誤解は「PDF化したスキャン文書は電子保存とみなされる」ということです。
    電子証明及びタイムスタンプがないスキャン文書は原紙とは認められず、ただの参照用データにすぎません。電子保存を検討している場合はガイドラインを確認し、導入するメーカーが対応可能かどうか確認をしてください。

    他にも書類の保存等についてお困りのことがあれば、是非ご相談ください。
     

    元記事: note(原嶋企画)

  • レセプトの査定・返戻とは

    レセプトの査定・返戻とは

    医療機関は毎月10日に支払基金・国保連合会へレセプトを請求します。診療報酬の原資は国民が納付する税金や保険料等です。診療報酬は医療法や療養担当規則等を遵守し行った医療行為に対して支払われるものになるので、第三者である審査機関が適正か審査し判断をします。今回は保険請求に係る査定・返戻の基礎知識についてお話いたします。

    【返戻とは】

    審査の結果、記載事項の不備や不明等により、医療行為の適否の判断ができなかった場合など、請求内容に疑義が生じた場合にレセプトが医療機関に差し戻されることを返戻といいます。返戻事例で多いのは保険証の登録誤りや氏名等患者データの誤りです。保険証をスキャン・コピーするなど地道な対策が重要です。
    返戻内容に対して修正・追記等を行い再請求が可能ですが、診療報酬の支払いが遅れるので該当件数が多いと経営に影響が出ます。

    【査定とは】

    審査の結果、保険診療のルール上不適当であると判断された場合に減点、調整されることを査定と言います。医療機関には「増減点連絡書(通知書)」にて通知されます。
    また、査定事由ごとに記号が定められています。
    〔A〕    医学的に適当と認められないもの(病名漏れ、薬剤や診療行為の適応外等)
    〔B〕    医学的に過剰、重複と認められるもの(薬の過剰投与、診療行為の過剰等)
    〔C〕    A・B以外の医学的理由により適当と認められないもの(薬剤禁忌等)
    〔D〕   告示・通知に示された算定要件に診療行為が合致してないと思われるもの
       (告示や通知、疑義解釈等に示された算定要件に合わないもの)
    〔J〕 縦覧点検によるもの
    (過去のレセプトと併せて審査する。
     3月に1回等算定期間が定められている診療行為等)
    〔Y〕 横覧点検によるもの
    (入院・外来レセプトを照合したもの。退院後1ヵ月以内は算定不可等)
    〔T〕 突合点検によるもの
    (薬局のレセプトと照合される。院外処方箋を発行した医療機関から減点される)
    〔F~K〕事務上に関するもの
    (F固定点数誤り、G請求点数集計誤り、H縦計計算誤り、Kその他)

    ※都道府県によって、記号等の表現が異なることがあります。
     

    査定に対しては、再審査請求(医療機関再審査)をすることができます。支払基金・国保連合会の定めた様式を作成し請求します。再審査請求期限は原則6カ月となります。再審査の結果、請求が認められると「復活」「一部復活」として後日、診療報酬が支払われます。「原審通り」となると請求は認められません。また、保険者が審査支払機関の結果に納得がいかない場合に行われる再審査(保険者再審査)も存在します。
     
    診療報酬は医療機関の経営を支える要となります。患者さんから信頼され、地域に必要とされる医療機関であっても診療報酬を疎かにしてしまえば自院の存続に影響が生じます。

    審査機関側は機械的な審査を進めています。医療機関側もレセプトチェックソフトの導入や自院用のカスタマイズ、査定返戻対策を行い診療報酬の減収を防ぐことが重要になります。

    元記事: note(原嶋企画)