「スタッフが急に辞めると言い出した」「辞める理由を聞いても本音を話してくれない」——そんな相談がちょこっと事務長に届くのは、たいていスタッフが辞表を出した後です。
実は、スタッフが辞める前には必ずサインが出ています。そのサインに気づいていれば、離職を防げたケースが多くあります。
この記事では、現役事務長の視点から「辞める前兆チェックリスト」と「サインに気づいたあとの対応ステップ」をお伝えします。
なぜスタッフは突然辞めるのか
院長からよく聞く言葉があります。「突然辞めると言ってきた。全然気づかなかった」。
でも、スタッフ側に聞いてみると「ずっとサインを出していた」というケースがほとんどです。
サインを見落とす理由は主に2つです。
- 院長・スタッフ間のコミュニケーションが少ない:日々の診療に追われて、スタッフの変化に目が向かない
- 「不満を言う=問題スタッフ」という認識:ちょっとした不満を言い出しにくい空気がある
結果として、スタッフは内側で不満を溜め込み、転職先が決まった段階で初めて辞表を持ってくる——これが「突然辞める」に見えるパターンです。
辞める前兆チェックリスト10項目
以下の項目に当てはまるスタッフがいた場合、早めのフォローが必要です。
【勤務態度の変化】
- ☐ 急に有給休暇を取得するようになった(特に平日・連続取得)
- ☐ 定時ぴったりに帰るようになった(以前は残業を厭わなかった)
- ☐ 服装・身だしなみに気を使いはじめた(面接対策の可能性)
【コミュニケーションの変化】
- ☐ 院長・先輩スタッフとの会話が減った、返事が短くなった
- ☐ 朝礼・ミーティングでの発言が目に見えて減った
- ☐ 「最近どうですか?」と聞いても「大丈夫です」しか返ってこない
- ☐ 特定のスタッフと二人で話す場面が増えた(転職の相談をしている可能性)
【仕事への取り組み方の変化】
- ☐ これまで積極的だった研修・勉強会への参加が減った
- ☐ 院内の改善提案や「こうしたい」という発言が一切なくなった
- ☐ 後輩への引き継ぎ・教育を自発的に始めた(退職後を意識している可能性)
2〜3項目が重なったら要注意。4項目以上は転職活動がすでに始まっている可能性が高いです。
サインに気づいたあとの対応ステップ
「あのスタッフ、最近なんか様子が違うな」と感じたら、次の3ステップで動いてください。
Step1:1on1の場を設ける(気づいてから3日以内)
「最近どう?少し時間をもらえる?」と声をかけてください。このとき重要なのは診察後・業務終了後の2人きりの場を作ることです。他のスタッフの前では本音は言えません。
所要時間は15〜20分で十分。院長室やカフェで、業務の話をせずに「最近しんどいことはない?」と聞く場を作るだけで、スタッフの警戒は大きく和らぎます。
Step2:「聞く」に徹する
1on1でやってしまいがちな失敗が「院長側から話しすぎる」ことです。
「それは大変だったね」「もう少し教えてくれる?」と相槌を打ちながら、スタッフが話す量を院長の3倍以上にするのが目標です。不満の内容をジャッジせず、まず全部聞く。これだけで「話を聞いてもらえた」という満足感が生まれます。
Step3:改善できることは即アクション、できないことは正直に伝える
不満の内容が「給与」「シフト」「人間関係」など具体的なものであれば、改善できる部分と難しい部分を分けて答えてください。
- ✅ 改善できること:「来月から対応するね」と明確に約束する
- ✅ すぐには難しいこと:「今すぐは難しいけど、○ヶ月後を目標に考える」と期限を伝える
- ✅ 構造的に変えられないこと:「それは正直難しい。ただ〜の部分は変えられる」と代替案を示す
「聞いたけど何も変わらなかった」はむしろ逆効果。改善できることは必ず動いてください。
「引き止め方」より「辞めたくない職場」を作る
チェックリストと対応ステップをお伝えしましたが、根本的な話をすると、辞めたくない職場を作ることが一番のリテンション施策です。
ちょこっと事務長のクライアントで離職が減ったクリニックに共通しているのは以下の3点です。
- 院長が「ありがとう」を口癖にしている:給与より「認められている感覚」が離職防止に効く
- シフト希望を最大限に通す仕組みがある:ライフスタイルに合わせられる職場はそれだけで選ばれる
- スタッフが「院長に相談できる」と思っている:相談できる関係性が信頼の土台
「スタッフが定着するクリニックを作りたいけど、何から手をつければいいか分からない」という院長は、まずちょこっと事務長にLINEしてみてください。














